よくあるご質問

診療についてよくいただく質問をまとめてみました。

  • 骨粗鬆症とは、低骨量のために骨がもろくなり、骨折しやすくなった病態です。以前は背中や腰が曲がるのは年のせいで仕方ないと考えられていましたが、これは骨粗鬆症が原因だったのです。わが国はかつてない長寿国となってきています。
  • 骨粗鬆症を予防あるいは治療する最終目標は、高齢者に発生する骨折を予防し、加えて寝たきりへの防止にも努め、高齢者の健やかな生活を確保することにあります。
  • 骨量は18歳頃をピークに年をとるごとに少しずつ減っていきますが、特に女性では閉経期の40~50歳代から急激に骨量が減少します。ところが骨粗鬆症の大半は無症状で早期発見が難しく、このことが症状を進行させる要因です。最近では良い薬が開発されていますが、つぶれてしまった骨をもとにもどすことはできませんので、早めの加療が必要です。
  • 整形外科で診る疾患で最も多いのが腰痛ですが、その原因には様々のものがあります。整形外科では診察の後にレントゲン検査やMRI検査をします。これらの検査で変形や骨粗鬆症などの加齢的所見の程度がわかりますが、最も大事なことは、骨の腫瘍、癌の転移、脊髄腫瘍、感染症などの重大な疾患が隠されていないかをみることです。このことは、腰に限ったことではありません。
  • 坐骨神経痛の原因にも、腰椎椎間板ヘルニア、腰椎分離症、すべり症、脊髄腫瘍、仙骨嚢種、癌の転移などがあります。
  • 整形外科ではこれらの病態に応じて、温熱療法、電気療法、牽引療法などの理学療法、コルセットによる装具療法、運動療法、投薬、神経ブロック注射、手術といった方法を駆使して加療するのです。腰痛に限らず、痛みを安易にとらえると危険なことがありますのでご注意ください。 
  • 広島、長崎の被爆者に白血病の発生がみられたのが有名ですが、統計的に増えたのは200ミリ・シーベルト以上の被曝量でした。私達は普通に生活していても、自然放射線を年間2.4ミリ・シーベルトほど浴びています。通常のレントゲン検査での整形外科領域の被曝量は、被曝量の多い腰椎で1.5ミリ・シーベルト、股関節で0.32ミリ・シーベルトで、他の部位はもっと少ない被曝量です。
  • 通常のレントゲン検査での被曝量は心配するようなレベルではありませんので安心して検査を受けて下さい。なお、当院のレントゲンの機械はCR(コンピューテッドラジオグラフィ)ですので、通常の機械より被曝量も少なく、画像もより鮮明です。 
  • 打撲や捻挫などの外傷の急性期には冷湿布を使用し、慢性の腰痛、肩こり、関節痛などには気持ち良ければ、冷湿布と温湿布どちらでも良いです。冷湿布は冷やすためのもの、温湿布は温めるためのものと考えている人がいますが、冷湿布は冷感湿布つまり冷たく感じる湿布、温湿布は温感湿布つまり温かく感じる湿布というべきものです。
  • 痛みのある患部をリハビリで温めて治療しているのに、冷湿布で冷やすのは変だと思う人がいますが、これは冷やしているのではないのです。冷湿布には冷たさを感じるメントール、温湿布には温かさを感じるトウガラシ成分のカプサイシンが配合されており、皮膚の感覚に違いを出します。最近の湿布はインドメタシンのほか、フェルビナク、ケトプロフェンなど強力な消炎鎮痛剤が含まれています。痛みの元の物質が作られるのを妨げることで、痛みや炎症を抑えます。
  • 中年期以降に膝の痛みがみられたら、ほとんどは変形性膝関節症によるものです。これは関節内の骨の表面を覆っている軟骨がすり減ることが原因です。関節は関節包で包まれていますが、その内側に滑膜があります。滑膜からは関節液が生成され、吸収されています。
  • 関節液は軟骨のすべりをよくする潤滑油です。膝の軟骨がすり減るなどのため、滑膜に炎症をおこすと多量の関節液が生成されて、水がたまります。貯留した水の量が少ない時は抜く必要はありませんが、大量に水がたまると膝がよく曲がらなくなるので抜いた方が楽になります。
  • 膝の水を抜いてもクセになることはありませんが、膝の炎症がおさまるまで、またたまります。そこで、投薬、電気治療、装具、関節内注射などの治療を加えてゆくと炎症がおさまり水も減ってきます。 
  • 適度な運動が心身の健康に役立つことは間違いないのですが、過度の運動は障害をもたらすこともありますので、気をつけてください。
  • 例えば、腰痛のある人が運動不足の解消に過度の運動をすると腰に負荷がかかりすぎて、腰痛が悪化する可能性があります。加療により痛みを軽快させ、腹筋、背筋の筋力強化、腰痛体操をしてから運動をするのが安全です。また、糖尿病や高血圧の人が内科医にできるだけ歩くことを勧められ、毎日欠かさず実行したために、膝を痛めたりすることも少なくありません。
  • 体には個人差があり、自転車こぎやウオーキングなどの軽い運動でも障害をおこすことがあります。痛みを感じたら整形外科を受診して、加療とアドバイスをうけて下さい。
  • 手足を骨折して骨がずれているような場合では、腫れや痛みが強いので、手足があまり動かないでしょうが、ほとんどずれのない骨折、俗に言うヒビの場合では腫れや痛みがあまりみられませんから、手足は動きますし、歩けることも多いのです。それでそのまま放置してしまい、いつまでたっても腫れや痛みがとれず、なかには骨がずれてしまい、治療に長期間を要す事もあります。 
  • 確かに高齢の人はいろんな部位に障害がでることがあります。レントゲンにも加齢的変化が強くみられることがよくありますが、レントゲン所見の程度と症状の強さは必ずしも一致しません。
  • また、加療してもレントゲン所見は残存しますが、症状はよくなりますので御安心下さい。わが国は世界一の長寿国です。長くなった老後を明るく生き生きとしたものとするために、我慢は禁物です。
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